統計分析って難しいね
マーケティングが今あらゆるビジネスで重視されていますね。
爆発的にヒットする製品を開発したのはいいけど、そんなに売れるとは思っていなくて在庫がすぐになくなってしまってチャンスを逃したり、「絶対ヒットする」と信じていっぱい在庫を抱えたら、まるで売れなくて大損したり……。
こういう失敗は全部マーケティングの不備からくるもの。でも、難しいんですよね。「市場のニーズをあらかじめ把握する」のがマーケティングの基本なんだけど、どんな仕事についていても多くの人が「そう簡単にはいかないよ」と実感しているはず。
そこで統計資料を僕らは頼りにしようとするんだけど……例えば1つの統計データだけを鵜呑みにしたばっかりに「売れる!」と確信したモノが売れなかったりする。かといって、「一面的な視点だけではダメだ」といろいろなデータを集めたのはいいが、その結果「で、どのデータを信じればいいんだ?」と迷ってしまい判断をくだせなくなることも少なくない。
同じデータを分析させても、そこから導き出す見解は人によって驚くほど違っていたりする。例えば「楽天イーグルスの現在の勝率は2割1分1厘です」と聞かされたとしても、「なに?そんなに弱いのか」と思う人もいれば、「新参チームなのに2割を超えているなら、まずまずの結果じゃないか」と感じる人だっている。ほんと、マーケティングってのは難しいわけです。
さてさて、以前「視聴率ばかりアテにして世の中を語るのは古くて一面的すぎる」と投稿しましたが、興味深い統計や記事をいくつか見つけたので引用します。
「マーケティングや統計分析は、かくも難しい」という話題の材料
として読んでみてください。
まずは以下の4月に書かれた記事から。
キムタク効果健在…「エンジン」視聴率25.3%
- ZAKZAK 2005/04/19
18日に放送されたSMAPの木村拓哉(32)が主演のフジテレビ系ドラマ「エンジン」(月曜午後9時)が平均視聴率25.3%(関東地区、ビデオリサーチ調べ、以下同)をマーク。多くのドラマが視聴率低迷に悩む中、やはりキムタクの力は大きかった。
これまでに放送された4月開始ドラマの初回視聴率を見ると、TBS系「あいくるしい」(日曜午後9時)の17.3%がエンジンに次ぐが、これは2回目には11.9%と急降下。……(後略)
ちなみにZAKZAKは夕刊フジがやっている情報サイトです。さて、その夕刊フジが約1ヵ月後の5/9に掲載した記事が下の内容。
キムタク笑、久米トホホ…各局視聴率春の陣
- Yahoo!ニュース - 夕刊フジ 2005/05/09
5月に入り、4月にスタートしたテレビ番組の評価も出そろってきた。
まずは低迷と言われて久しいドラマ。1月には日本テレビ系「ごくせん」が近年にない高視聴率で話題となり、ドラマ復活の兆しも見えたが、それ以外は伸び悩んだ。そのせいか、4月のドラマは前クールよりも全体的に視聴率は高め。とくに、SMAPの木村拓哉(32)主演のフジテレビ系「エンジン」(月曜午後9時)は初回25.3%(関東地区、ビデオリサーチ調べ、以下同)と、際だつ強さをみせた。
辛口で知られる作家の麻生千晶さんも「木村くんは“オンリーワン”ですね。子供ができても、ドラマに入ると本人の(私生活の)情報を忘れるくらい魅力がある。演技がうまいのではなく天性の自然体だし、脚本もいい。(視聴率は)落ちないと思いますよ」と絶賛。「エンジン」は今月2日の3回目で19.6%と惜しくも20%を割り込んだが、断トツに変わりはない。……(後略)
2つの記事は同じメディアのものなのに、
データに対する視点にブレを感じる人がいるでしょう。
17.3%が11.9%に下がった「あいくるしい」に対しては「急降下」という判断をくだしています。けれど、25.3%が19.6%に下がった「エンジン」に対しては「断トツに変わりはない」と評価をしています。
単純に引き算をすると……17.3-11.9=5.4、25.3-19.6=5.7です。
「あれ?おかしいいぞ」と感じるわけです。
ただし、両番組には最初の数字で相当な開きがある。「17→11は痛手だが、25→19は許容範囲」と判断しても、全然おかしくはない、と考えることも可能なのです。だから、「2つの記事の間に矛盾はない」という理屈も成立する。
いずれにせよ、この例題で一番大事なテーマを挙げるとすれば「はたしてドラマ『エンジン』は支持され続けるか否か」。2つの記事の間に矛盾を感じた人は「エンジンもやばいんじゃないの?」と予測するでしょう。「もともとのスタート時の視聴率が非常に高いのだから多少下がってきてもOK」と感じた人は「十分ヒット番組として影響力を持つ」と予測するでしょう。
ともあれ「どっちがより正しい数値分析をしていたか」は6月の最終回までの動向を見ればハッキリします。
でも実際のビジネス現場のマーケティング担当者だとしたら、ここで僕が以前投稿したように「視聴率だけでモノを語っていいのか?」という疑問を持つはずです。そうです。マーケティング的にいえば「たった1つの指標でモノを語っていいわけがない」んです。
というわけで、今日見つけたのが下の調査結果に関わる記事。
時代は、"働く女"、"闘う女"を支持
- Yahoo!ニュース - オリコン
オリコンの自社アンケート・パネル【オリコン・モニターリサーチ】では連続テレビドラマの期待度や満足度ランキングを調査しているが、今回は春の連続テレビドラマの放送直後の満足度に関する調査を行い、結果をまとめた。
その結果、この春の連続テレビドラマを放送する前に調査した"期待度"では4位だった『離婚弁護士2~ハンサムウーマン~』が、"満足度"でトップに躍り出た。
(中略)
一方で、誰の目にも意外に映ったのが『エンジン』のランキングではないだろうか。初回放送分の視聴率が今期の連続ドラマの中で唯一25%を超えるなど、前評判に違わぬ滑り出しを見せていただけに、"期待度"2位→"満足度"9位という結果は様々な意味で興味深い。(4月28日~5月2日の間、中高生、専・大学生、20代社会人、30代、40代の男女各100人、計1000人にインターネット調査したもの)。
大好きな天海さんのドラマがナンバー1で嬉しいな、という話は置いとくとして……。
まったく違う調査方法で行われたアンケートの結果、「エンジン」は満足度で低い評価しか得られなかったことがわかります。放映前の「期待度」の調査ではナンバー2だったにもかかわらず、放映後の「満足度」で7ランクもダウンしてる。
さて、今度はどう分析します?
いろいろ見解は分かれるでしょうね。
「そもそも1000人程度を対象にしたアンケートじゃあ、実態はつかめない」
と、そもそも論を唱える人もいるでしょう。
でも、上記のすべての記事が引用している「ビデオリサーチ調べ」の視聴率も関東地区での数字。関東地区のモニターは600世帯でしかありません。もちろん世帯数から人数を割り出す手法は多様にあるし、ビデオリサーチでは世帯モニターの数値以外の要素も絡めて平均視聴率を出してはいますが、オリコンの調査対象1000人という規模が、ビデオリサーチにかけ離れて小さいとは言い切れないわけです。
それはさておき、「やっぱりドラマの内容が評価されなかったんだ」とデータから判断する人、「いや、期待がデカすぎただけで、この後から徐々に満足度も上がるはずだよ」と判断する人などなど、意見はさまざまになるはず。ともかく、統計分析はこんな風に難しいのです。
でも、こうやって身近なテレビドラマの支持率を教材にしてマーケティング的視点で推移を眺めていくと、「難しいからこそ面白い」と感じます。
まあ、僕はマーケッターではなくライターですから、どちらかといえば分析眼よりも感性の鋭さが問われる職業。ドラマを見て直感的に「いい!」「ダメ!」と判断した感性の確かさを今後の視聴率やその他アンケート調査の結果でたしかめていきたいな、と思ってます。
とりあえず現状は「いい!」と感じたドラマの「満足度」が高かったこと、「ダメダメ」と感じて見るのを即やめたドラマの「満足度」が低かったことを喜んでいますが、この先どうなることやら楽しみです。
夕刊フジの引用記事に登場してきた「作家の麻生千晶さん」って、よく知らない人だけど(ゴメンナサイ)、なんかテレビ雑誌でドラマ・アカデミー賞とやらの審査員もやってる人らしいです。そういう「通人」の感性よりも、一介のライターでしかない「凡人」な僕の感性のほうが鋭かった……という結果になったら嬉しいなあ。


























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